
今日は中国の製薬業界に関するAI創薬の進展、新薬データ保護制度の導入、そして米中関係が製薬業界に与える影響などホットな話題をお届けします。
◇AI創薬が本格始動、DeepSeek社が注目の的に
中国ではAIを活用した創薬が急速に進化しています。2024年の医療AI市場は約192億ドルに達し、2030年には数千億ドル規模になると予測されています。この成長の中心にいるのが、生成AI技術をオープンソース化したDeepSeek社。彼らの技術は、臨床データや遺伝子情報を活用したターゲット選定に革命をもたらしており、研究者が自由にカスタマイズできる環境を提供しています。
米国ではOpenAIが先行していましたが、中国は膨大な人口データと政府の支援を武器に、独自のAI創薬エコシステムを構築中。今後は、AIによる創薬スピードの加速とコスト削減が期待されています。
◇新薬データ保護制度が年内施行へ
長らく議論されてきた中国の新薬データ保護制度が、ついに実現に向けて動き出しました。2025年3月、中国国家薬品監督管理局(NMPA)は「药品试验数据保护实施办法(征求意见稿)」を公表し、新薬に対して一定期間、ジェネリック薬の承認を制限する方針を示しました。
この制度は、革新的な新薬の開発を促進するための重要なステップ。特許期間の延長制度と並び、製薬企業にとっては知的財産の保護と収益確保の両面でメリットがあります。米国でも同様の制度が既に存在しており、中国がこれに追随することで、グローバルな競争力が高まると見られています。
◇米中関係と製薬業界:緊張と依存のはざまで
米国ではトランプ政権が再び中国依存の医薬品供給に懸念を示しており、国内製造への回帰を主張しています。一部報道では、アモキシシリンの原料の約80%を中国が供給しているとの指摘もあり、米中間の医薬品サプライチェーンが政治的な緊張の火種となっています。
一方、中国国内では江蘇省が医薬品製造の中心地として台頭。売上高4億円以上の製薬企業が集中しており、技術力・生産力ともに他省を引き離しています。これは、グローバル市場における中国の存在感をさらに高める要因となっています。
◇日本企業への影響も:アステラス社員に実刑判決
その一方で・・・中国でアステラス製薬の社員がスパイ容疑で実刑判決を受けるという衝撃的なニュースも報じられました。背景には、歴史問題を利用した中国政府のナショナリズム動員や、映画『731部隊』の大ヒットなどがあり、日本企業にとっては経済活動と安全保障の両面でリスクが高まっています。
このような状況下では、製薬業界に限らず、日中間のビジネスにおける慎重な対応が求められます。
中国の製薬業界は、AI技術の導入と政策改革によって、グローバル市場での競争力を急速に高めていますが、米中関係によるサプライチェーンの変化や、日本企業のリスク管理と対応策などによっては、その成長に影響があると考えます。