今から約20年前、世の中はMBAブームの真っ只中でした。ビジネススクールに通うことがキャリアの王道とされ、企業戦士たちはこぞって経営学を学びに海を渡っていました。そんな時代に、私はまったく違う方向へと舵を切りました。
当時、テクノロジーは急速に進化し、人工知能が未来を変えると騒がれていた頃。そんな流れの中で、私はふと考えたのです。「AIが論理や計算を担うなら、人間に残されるのは“創造力”ではないか?」と。そう、アートこそがこれからの時代に必要とされる力だと、直感的に感じたのです。
とはいえ、私は法学部出身。芸術とは無縁の人生を歩んでいました。でも、趣味で作っていたウェブアートや映像作品がありました。夜な夜なPhotoshopやPremiereをいじっては、何かを表現することに夢中になっていたのです。
その作品たちをポートフォリオにまとめ、思い切ってニューヨークの芸術系大学院に出願。今思えば、無謀とも言える挑戦でした。英語力も不安、アートの専門教育も受けていない、でも「やってみたい」という気持ちだけは誰にも負けないほど強かった。
そして奇跡的に合格通知が届いたあの日。封筒を開けた瞬間、涙がこぼれました。あの時の感情は、今でも鮮明に覚えています。
ニューヨークでの学生生活は、まさにジェットコースターのような日々でした。授業はハイレベル、周囲は世界中から集まった才能の塊。自分の未熟さに打ちのめされることもありましたが、それでも毎日が刺激的で、学びに満ちていました。
学費は年間200万円を超えていました。生活費も含めると、かなりの出費。でも、アルバイトをしたり、ニューヨークのテレビ局でインターンをしたり、なんとかやりくりして乗り越えました。あの頃の自分、よく頑張ったなと今では誇りに思います。
そして2025年になる今年、卒業以来初めて家族と一緒に母校を訪れました。懐かしい校舎、活気に満ちた後輩たちの姿を見て、胸が熱くなりました。「そういえば、どうやって入試を突破したんだっけ?」「あの頃の自分、よくあの環境に飛び込んだなぁ」──そんな思いが次々とよみがえってきました。
今では、あの経験が私のビジネス活動にも大きく影響しています。創造力を軸にした企画やプロジェクトは、あの頃の学びが土台になっているのです。アートは単なる表現ではなく、思考の枠を広げ、世界を違った角度から見る力を与えてくれました。
ちなみに、今の学費はなんと700万円を超えるとか…。しかも、トランプ政権以降、ビザ取得も難しくなっているようで、これから留学を目指す人には他の国も視野に入れることをおすすめしたいところです。
それでも、私にとってニューヨークは人生の転機をくれた場所。そして母校は、私に「創造力で生きる」という選択肢を与えてくれた場所です。
ありがとう、ニューヨーク。ありがとう、母校。そして、あの頃の自分へ──よくぞ飛び込んだ!