

大きなニュースが入ってきました。本日2025年9月22日、持田製薬と伊藤忠商事が、ジェネリック医薬品大手を傘下に持つアンドファーマにそれぞれ20%出資するというニュースが日経で報じられましたのを目にしました。これは単なる資本提携にとどまらず、日本の医薬品製造体制の再構築、そして商社の製薬業界への本格参入という大きな転換点を示しています。
医薬品供給の危機とジェネリックへの期待
近年、薬剤の供給不足が全国的に問題となっています。とくに後発医薬品(ジェネリック)の製造現場では、品質管理や人材不足、設備老朽化などが重なり、安定供給が困難になっているケースも少なくありません。私がかつて所属していたフランスサノフィー社と日医工がお互い出資し取り組んだ合弁会社・製造プロジェクトも、品質の課題から解消されたのが数年前。状況はあんまり好転していない体感です。
一方で、国の医療費抑制政策により、ジェネリック医薬品の使用促進はますます加速しています。厚生労働省は数量ベースで80%以上のジェネリック使用を目標に掲げ、医療機関や薬局にも積極的な導入を促しています。高齢化が進む日本では、医療費の増大が避けられず、ジェネリックの普及は財政健全化の鍵となるのです。
伊藤忠の初参入と商社の新たな役割
今回の伊藤忠によるアンドファーマへの出資は、同社にとって製薬業界初の本格的な資本参加です。伊藤忠はこれまで繊維、食品、エネルギーなど多岐にわたる分野でグローバルに展開してきましたが、医薬品分野ではサプライチェーンの知見を活かし、原料調達や物流、流通網の構築に貢献する意向を示しています。
持田製薬は研究開発力を提供し、アンドファーマの製造・品質管理体制を強化。両社の連携により、ジェネリック医薬品の安定供給体制が構築されることが期待されています。
商社による製薬業界への投資は、三井物産や三菱商事が先行しており、三井物産は武田薬品や中外製薬との協業、三菱商事はバイオベンチャーへの出資などを通じて、創薬や製造支援に積極的です。今回の伊藤忠の動きは、商社全体が医薬品分野に本格的に関与していく流れを加速させる可能性があります。
CDMO再編と創薬の未来
アンドファーマは日医工、共和薬品工業、T’sグループを傘下に持つ持株会社で、国内ジェネリック医薬品市場において大きな存在感を示しています。CDMO(医薬品受託製造開発機関)としての機能も強化されつつあり、製造受託だけでなく、製剤設計や品質保証までを担う体制が整いつつあります。
しかし、ジェネリックだけでは日本の製薬産業の未来は描けません。世界をリードする創薬力を育てるには、基礎研究から臨床開発、製造、販売までを一貫して支える体制が必要です。ここにこそ、資金力とネットワークを持つ商社の役割が問われます。
たとえば、三井物産は米国の創薬ベンチャーへの出資を通じて、革新的な治療法の開発に関与しています。また、三菱商事はAI創薬やゲノム編集技術を活用するスタートアップとの連携を進めています。こうした動きは、日本の製薬企業がグローバル市場で競争力を持つための重要な布石となるでしょう。
日本経済へのインパクトと今後の指針
医療財政のひっ迫は避けられない現実です。高齢化に伴う医療ニーズの増加、慢性疾患の増加、医療技術の高度化により、医療費は今後も右肩上がりに増加する見込みです。ジェネリック医薬品の普及はその抑制策の一つですが、同時に創薬力の強化による高付加価値医薬品の輸出も、日本経済にとって重要な柱となります。
日本はかつて「失われた30年」と呼ばれる経済停滞期を経験しましたが、今こそ製薬産業を新たな成長エンジンと位置づけ、国を挙げて支援するべき時だと私は思います。商社、製薬企業、研究機関、政府が連携し、創薬から製造、流通までを支えるエコシステムを構築することで、日本発の革新的医薬品が世界を席巻する未来も夢ではありません。
商社×製薬=新たな産業創出へ
今回の伊藤忠と持田製薬によるアンドファーマへの出資は、医薬品供給の安定化だけでなく、商社が製薬業界に本格参入する象徴的な出来事です。ジェネリックの供給体制強化とともに、創薬分野への投資が進めば、日本の製薬産業は再び世界の舞台で輝く可能性を秘めています。
資金力とネットワークを持つ商社が、医療の未来を支えるパートナーとして、製薬業界に深く関与していくことを、私は大いに歓迎したいです。お手伝いします私。ぜひ。