製薬業界

2025年10月7日、Precedence Researchの最新レポートによると、世界の製薬市場は今後10年間で急速な成長を遂げ、2034年には3兆300億ドル(約500兆円)規模に達する見通しが示されました。 現在の市場規模は1兆7700億ドルで、2024年からの年平均成長率(CAGR)は6.15%と予測されていますが、特にアジア太平洋地域が最も高い成長率を示すとされ(^^)good news! 本件ニュースの発信元である北米は依然として最大の市場シェア(42%)を保持しているということが述べられています。 主なトレンドと注目点: この成長の背景には、慢性疾患の増加、医療アクセスの拡大、革新的治療法への需要の高まりがあります。製薬企業は、研究開発投資の強化とともに、デジタル技術やAIの活用による効率化を進めているというのは以前の私の記事でも言及している通りです。 読者の皆様のように戦略的視点を持つマーケターにとって、こうしたマクロトレンドは事業開発や市場参入戦略の重要な指針となるでしょう。特にアジア市場の成長は、今後のパートナーシップや製品展開の好機を示唆しています! ということで、クイックニュースでした!
創薬の世界は、まるで複雑なパズルのようです。ターゲットとなる疾患や分子を見つけるところから始まり、臨床試験を経て、最終的に患者の手元に届くまでには、長い年月と莫大なコストがかかります。特に近年では、低分子・中分子・高分子といったモダリティの多様化により、創薬のアプローチも複雑化しています。そんな中で、創薬の成功率を高め、期間を短縮し、コストを削減する鍵となるのが「臨床開発におけるデータとテクノロジーの活用」です。 ◇創薬の平均的な期間とコスト:モダリティ別・疾患別の傾向 創薬は一般的に以下のステップを経て進みます: ◇創薬にかかる平均期間◇ ◇創薬コストの目安(1製品あたり) 疾患別では、がんや希少疾患は患者数が限られるため、臨床試験の設計が難しく、コストが高騰しがちです。一方、糖尿病や高血圧などの慢性疾患は患者数が多く、試験設計が比較的容易ですが、競合製品が多いため差別化が求められます。 ◇ 臨床開発の成功を左右する「サイト・KOL・患者選定」 創薬の中でも、臨床開発は最も時間とコストがかかるフェーズです。特にPhase 2・3では、数百〜数千人の患者を対象に試験を行う必要があり、適切な病院(サイト)と責任医師(KOL)、そして患者のリクルーティングが成功の鍵を握ります。なぜ「適切なサイト・KOL・患者選定」が重要なのか? ◇ビッグデータとAIによる臨床試験設計の革新ここで登場するのが「世界中のサイト・病院・KOL・患者データベース」と、それを解析するAIや機械学習の技術です。これらを活用することで、以下のようなメリットが得られます: ◇ 臨床開発の短縮によるコスト削減効果 臨床試験の期間を1年短縮できた場合、どれくらいのコスト削減につながるのでしょうか? ◇創薬における「データとテクノロジー」の重要性 創薬の初期段階では、ターゲット分子の選定やスクリーニングにAIが活用されるようになっています。例えば、疾患の原因となる遺伝子やタンパク質を解析し、最適な化合物を設計するプロセスでは、膨大な論文データやゲノム情報が活用されます。しかし、創薬の成功率を最も左右するのは「臨床開発」です。ここでのデータ活用こそが、創薬の未来を変える鍵となります。 ◇創薬の未来は「臨床開発のデータ活用」にあり!...
B2Bマーケティングにおいて、ターゲティング広告やリードジェネレーション施策の成果を左右するのが「バナー画像の質とスピード」です。これまで外部のデザイナーや制作会社に依頼していた画像制作も、AI画像生成ツールの登場により、インハウスで迅速かつ低コストに対応できる時代が到来しました。 この記事では、B2Bマーケターが自社内でバナー制作を行う際に活用できる画像生成AIツールを、特徴・使い方・価格とともに紹介します。 ◇なぜ今、インハウスで画像制作なのか? ◇B2Bマーケター向けおすすめ画像生成AIツール5選 ① Canva Magic Design 特徴:テンプレート連携で初心者でも簡単にバナー作成使い方:ドラッグ&ドロップで要素を配置。AIが自動でレイアウト提案。価格:無料プランあり。Pro版は月額1,100円、Teams版は月額1,650円/ユーザーおすすめ用途:展示会告知バナー、ウェビナー案内、ホワイトペーパー誘導広告メリット:日本語対応、商用利用OK、チーム共有機能あり注意点:画像生成の自由度はやや低め ② DALL·E 3(ChatGPT Plus / Bing Image Creator)...
昨日、2025年9月26日、米国大統領ドナルド・トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」にて、次のような投稿を行いました。 “Starting October 1st, 2025, we will be imposing a 100% Tariff on any branded or...
今日は中国の製薬業界に関するAI創薬の進展、新薬データ保護制度の導入、そして米中関係が製薬業界に与える影響などホットな話題をお届けします。 ◇AI創薬が本格始動、DeepSeek社が注目の的に 中国ではAIを活用した創薬が急速に進化しています。2024年の医療AI市場は約192億ドルに達し、2030年には数千億ドル規模になると予測されています。この成長の中心にいるのが、生成AI技術をオープンソース化したDeepSeek社。彼らの技術は、臨床データや遺伝子情報を活用したターゲット選定に革命をもたらしており、研究者が自由にカスタマイズできる環境を提供しています。 米国ではOpenAIが先行していましたが、中国は膨大な人口データと政府の支援を武器に、独自のAI創薬エコシステムを構築中。今後は、AIによる創薬スピードの加速とコスト削減が期待されています。 ◇新薬データ保護制度が年内施行へ 長らく議論されてきた中国の新薬データ保護制度が、ついに実現に向けて動き出しました。2025年3月、中国国家薬品監督管理局(NMPA)は「药品试验数据保护实施办法(征求意见稿)」を公表し、新薬に対して一定期間、ジェネリック薬の承認を制限する方針を示しました。 この制度は、革新的な新薬の開発を促進するための重要なステップ。特許期間の延長制度と並び、製薬企業にとっては知的財産の保護と収益確保の両面でメリットがあります。米国でも同様の制度が既に存在しており、中国がこれに追随することで、グローバルな競争力が高まると見られています。 ◇米中関係と製薬業界:緊張と依存のはざまで 米国ではトランプ政権が再び中国依存の医薬品供給に懸念を示しており、国内製造への回帰を主張しています。一部報道では、アモキシシリンの原料の約80%を中国が供給しているとの指摘もあり、米中間の医薬品サプライチェーンが政治的な緊張の火種となっています。 一方、中国国内では江蘇省が医薬品製造の中心地として台頭。売上高4億円以上の製薬企業が集中しており、技術力・生産力ともに他省を引き離しています。これは、グローバル市場における中国の存在感をさらに高める要因となっています。 ◇日本企業への影響も:アステラス社員に実刑判決 その一方で・・・中国でアステラス製薬の社員がスパイ容疑で実刑判決を受けるという衝撃的なニュースも報じられました。背景には、歴史問題を利用した中国政府のナショナリズム動員や、映画『731部隊』の大ヒットなどがあり、日本企業にとっては経済活動と安全保障の両面でリスクが高まっています。 このような状況下では、製薬業界に限らず、日中間のビジネスにおける慎重な対応が求められます。 中国の製薬業界は、AI技術の導入と政策改革によって、グローバル市場での競争力を急速に高めていますが、米中関係によるサプライチェーンの変化や、日本企業のリスク管理と対応策などによっては、その成長に影響があると考えます。
私が現在どっぷり漬かっている製薬業界ですが、これまで働いてきたIT、金融業界はもちろん、特にB2Bマーケティングの世界は2025年に入りさらに進化を遂げています。かつては展示会や営業訪問が主流だったこの領域も、今ではAI、データ分析、動画、コミュニティといったテクノロジーが中心に。今回は、海外の最新事例を交えながら、今注目すべきマーケティングテクノロジーとそのユースケースをわかりやすくご紹介します! 1. AIによるハイパーパーソナライゼーション 2025年のB2Bマーケティングで最も注目されているのが、AIを活用した「ハイパーパーソナライゼーション」です。従来の「業界別」「役職別」といったセグメントを超え、個々の購買履歴、閲覧傾向、興味関心に基づいて、リアルタイムで最適なコンテンツを届ける技術が進化しています。例えば、 このような技術により、B2Bでも「まるで自分のために作られた」ような体験が可能になっています2。 2. 動画×B2B:短尺・パーソナルが鍵 B2Cではすでに主流となっている動画マーケティングですが、2025年はB2Bでも急速に浸透中。特に「短尺」「パーソナライズ」「人間味」がキーワードです。例えば、 動画は「人間らしさ」を伝える最強ツール。B2Bでも感情に訴えるマーケティングが求められています。 3. データプライバシーとファーストパーティデータの活用 GDPRやCCPAなどの規制強化により、2025年は「ファーストパーティデータ」の重要性がさらに高まっています。つまり、自社で直接収集したデータをいかに安全に、かつ効果的に活用するかが鍵。例えば、 データの「質」と「信頼性」が、マーケティング成果を左右する時代です。 4. 自動化とワークフロー最適化 マーケティング業務の効率化も、2025年の重要テーマ。AIによる自動化は、単なる作業の代替ではなく「戦略的な時間の創出」に貢献しています。例えば、 「人間がやるべきこと」に集中できる環境づくりが、成果を生む鍵です3。...
今回は、2030年の処方薬売上予測をもとに、製薬業界のトップ10企業がどう変わるのかを見ていきましょう。GLP-1製剤の急成長や、特許切れによる影響など、ランキングに大きく関わる要素が盛りだくさんです。 圧倒的1位はイーライリリー社!売上3倍の大躍進 まず注目すべきは、イーライリリー社の快進撃。2030年には処方薬の年間売上がなんと1,126億ドルに達すると予測されています。2024年の売上が407億ドルだったことを考えると、実に3倍近い伸び。年平均成長率(CAGR)で見ると18%超という驚異的な数字です。2024年時点では11位だったリリー社が、2030年には堂々の1位に。まさに「大躍進」と言えるでしょう。 2位はノボノルディスク社、GLP-1製剤が成長の原動力 続いて2位にランクインするのがノボノルディスク社。2024年には10位だった同社も、GLP-1製剤の好調な売上に支えられて急成長。リリー社と並び、GLP-1市場の勝者として2030年の製薬業界を牽引する存在になると見られています。 特許切れが明暗を分ける:オプジーボ・エリキュース・キイトルーダ 一方で、特許切れによる売上減少がランキングに影響を与えている企業もあります。たとえば、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社は、免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」や抗凝固薬「エリキュース」の特許切れが響き、トップ10から脱落。 ファイザーも2024年には5位でしたが、2030年には10位に後退。しかも、2024年から2030年までのCAGRはマイナス0.6%と予測されており、トップ10企業の中で唯一のマイナス成長になる可能性があります。 メルク社も「キイトルーダ」の特許切れが影響し、ランキングを5つ落とす見込みです。特許の壁は、やはり大きいですね。 ロッシュ社の戦略が光る:ブロックバスターなしでも5位に もうひとつ興味深いのが、5位にランクインしているロッシュ社。実は、製品別売上トップ10に入っている薬はひとつもありません。それでも、トップ10圏外の製品を幅広く展開し、全体として大きな収益を上げています。これは、一つの大型製品に頼らず、バランスの取れたポートフォリオで勝負するというロッシュの戦略が功を奏している証拠ですね。 ランキングはまだまだ流動的 最後に忘れてはいけないのが、政策の影響。米国では、トランプ政権による薬価引き下げの圧力や、医薬品への品目別関税などが導入される可能性もあり、ランキングの変動要因として注目されています。 GLP-1製剤の台頭、特許切れの影響、そして企業ごとの戦略の違い。2030年の製薬業界は、まさに変革の真っ只中です。次回は、各社の製品ポートフォリオや新薬開発の動向について、さらに深掘りしていきますのでお楽しみに! *出展Evaluate社 ワールドプレビューレポート2025
今回は、Evaluate社のデータベースから、2030年に向けた処方薬・製品の売上予測とランキングをご紹介します。スライドには、左から順に売上トップの薬が並んでいて、紫色のバーが2024年の実績、青色のバーが2030年の予測を示しています。見比べてみると、売上がグンと伸びている薬もあれば、ちょっと勢いが落ちているものもありますね。 Evaluateのデータは、四半期ごとの予測に加えて、臨床試験や規制の動きなど、リアルタイムに近い市場の変化を反映しているのが特徴。だからこそ、今後の医薬品業界の流れをしっかりつかむことができるんです。 さて、ランキングのトップ3に注目してみましょう。なんとそのうち2つは、アメリカのイーライリリー社が手がけるGLP-1受容体作動薬。糖尿病や肥満症の治療に使われる「マンジャロ」が第1位、「ゼップバウンド」が第3位にランクインしています。2030年にはそれぞれ362億ドル、255億ドルの売上が予測されていて、合わせると600億ドル超え!すごいですね。 さらに、GLP-1製剤としては、ノボノルディスク社の「オゼンピック」(第5位)と「ウィゴビー」(第6位)も含めると、合計で970億ドルを超える見込み。つまり、GLP-1系の薬が2030年の処方薬市場をリードすることは間違いなさそうです。 GLP-1以外では、アッヴィ社の「スキリージ」が第2位に。乾癬や炎症性腸疾患などに使われる薬で、売上は266億ドルの予測です。そして第4位には、サノフィ社の「デュピクセント」がランクイン。こちらは喘息やアトピー性皮膚炎の治療薬で、251億ドルの売上が見込まれています。どちらも幅広い疾患に対応しているので、今後も売上アップが期待されますね。 もうひとつ注目したいのが、第8位に入ったギリアド・サイエンシズ社の「ビクタルビ」。HIV治療薬として、159億ドルの売上が予測されていて、メガファーマ以外で唯一トップ10入りしているのがポイントです。2025年時点でも第7位に入っているので、2030年まで安定して上位に残りそうです。 そして、現在トップの「キイトルーダ」(メルク社)ですが、2028年に特許切れを迎えるため、今後は売上が徐々に減っていく見込み。2025年が最後の“トップの年”になる可能性が高いですが、メルク社は適応症の拡大や皮下投与製剤の開発、新しい市場への展開など、売上減少を抑えるための戦略をしっかり進めています。 ちなみに、同じく免疫チェックポイント阻害剤の「オプジーボ」(ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社)は、今年からトップ10圏外に。特許切れを見据えた中長期的な戦略が、今後ますます重要になってきそうです。 がん領域では、ジョンソン・アンド・ジョンソン社の「ダラザレックス」が、多発性骨髄腫の標準治療薬として、2030年に向けて堅調な売上を維持する見込みです。 以上、2030年に向けた処方薬の売上動向をざっくりご紹介しました。次回は、2030年のグローバル製薬企業ランキングについて、さらに詳しく見ていきますので、お楽しみに!